記事:2023年01月23日
2022年の777塾が、11月5日に無事終了しました。
博報堂時代にポストマス時代のクリエイター育成を目的にスタートした777塾。本格的な流れは、博報堂を退社した翌年の2004年から始まりました。以降18年、コピーライター、グラフィックデザイナー、UI/UXデザイナー、アートディレクター、クリエイティブディレクター、広告会社営業、イベントプランナー、マーケッター、データサイエンティスト、PRプランナー、雑誌編集者、放送作家、TV局ディレクター、映画プロデューサー、Webデザイナー、プログラマー、エンジニア、学生など、領域を超えたたくさんの若手人材を集めて強い企画を考える技術を伝えてきました。今年も、多様な職種の31名が渋谷に集結し、濃い2ヶ月半、10回のセッションをを終了したのでした。普段交わることのない多様な職種の人たちと同じテーブルを囲み、違った視点で互いの考えをぶつけあう。違うバックグラウンドで違う考え方とメソッドを持つものがぶつかることの面白さを体験できる貴重な機会です。
777塾2022のチーム編成
この20年の世界の変化とともに変化してきた広告ビジネス、広告クリエイティブ、クライアントビジネス。それとともに変化してきたクリエイターの役割。777塾は、その変化の先っちょを生きてきた自分が、変化の時代に求められる企画ソリューションの今を、毎年形を変えながら提供するものとして機能してきました。
2014年に出版した著書「なんとなく企画クリエイティブを仕事にしたい人のなんとなくをなんとなくじゃなくする本(通称なんクリ)」は、2014年時点でのメソッドをまとめたものでした。そして、2022年の6月にKidleリリースした「科学者じゃない僕たちは 想像力と妄想力と企画力とデザイン力で世界の未来と関わっていく」は、さらに8年後の2022年時点でのメソッドをまとめたものでした。
2022年の内容は以下のものでした。
1.思考を広げる(120min)
2.視点を広げる(120min)
3.企画を選ぶEDIT(120min)
4.時代変数と仮説のEDIT(120min)
5.高度EDIT学習から体験のEDITへ(120min)
6.高度EDIT〜パーセプションチェンジ思考(120min)
7.高度EDIT〜基準点思考(120min)
8.感覚との向き合い(120min)
9.伝え方のトレーニング(120min)
10.プレゼン
最後の回にある「プレゼン」は、グループごとの発表。初回にお題が出され、講義される企画メソッドを生かしながらグループごとに約2ヶ月をかけてプランニングした成果を発表しあうもの。書籍は、塾でアップデートされてきた内容を反映しているわけですから、その内容がシンクロすることは当然です。書籍があることで、受講前に全参加者が全体内容を読み、最低限の理解をした上で参加することになったため、講義理解が深まっただけでなく、受講者から深い質問がぶつけられるようになりました。また、講義内容も一方的インプットから、演習的要素を入れたり、受講者からの疑問に丁寧に答えていく運用も可能になりました。
22年受講者のバリエーションもまた、幅広いものでした。広告会社のデザイナー、コピーライター、プランナー、デザイナー、テクノロジスト、統合プランナーはもとより、クリエイティブエージェンシーのデザイナーやクリエイティブディレクター、ネット系エージェンシーの事業プロデューサーや広告プランナー、PRエージェンシーのプランナー、クライアント企業宣伝部のプロデューサー、クライアント企業のブランドマネージャー、クライアント企業社内デザイナー、レコード会社クリエイティブディレクター、コンサルタント、制作会社ディレクター、制作会社プロデューサー、ベンチャー企業のマーケッター、TV局ディレクター、学生。以前は、出版社の編集者やCM演出家、映画プロディーサーなんて人もいました。男女比は18:13。それぞれがそれぞれの現場で蓄積してきた経験と知見をベースに、フラットな関係で自由に議論を交わす。福田が提供する講義以上に、そうした出会いと時間が貴重な枠組みになっています。
受講者の多くと話していると、今の時代の現場の深い悩みも見えてきます。「師匠がいない問題」。若手時代に師匠的な人の下でじっくりと教えを乞うような育成が存在しにくくなっている昨今。その原因にはもちろんコロナによってリモート業務が増えたこともありますが、それ以上に、働き方改革が一気にすすんだ結果、ブラック労働につながりやすい師弟関係的チーム編成が廃止されたことが大きい。もちろんブラックはよくない。長時間労働もよくない。ただ、高い志をもって成長したいと願っている若手に、いい学習機会が与えられないことは大きな問題です。外部セミナーや広告学校で勉強できることもいろいろあります。でもそこで学べるコツや技術ではなく、基礎思考を鍛える日常的訓練をだれがどう見られるのか。若手時代の自分を思い返してみると、先輩や上司から何度も何度も何度も繰り返し同じことを言われて初めて理解・咀嚼できたことがいろいろありました。高度なニーズに答える高度な仕事の現場とは、それほどに厳しいものなのだと思います。
777塾は、2023年も2024年も、福田が元気である限り、続いていく予定です。新年度に入った4月中旬あたりに、福田のFacebookページや777のサイトで告知されますので、受講希望の方は、4月過ぎたらそれらサイトをチェックしてみてください。