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Loftworkのみんなと考える
Loftworkのパーパス経営ストラクチャー 

記事:2023年01月24日

時代的キーワード、パーパス。強いパーパス(なぜその事業をやるのか?/設立の動機)をもってスタートした企業は、そのパーパスが強く固有であるが故にさまざまな経営判断がパーパス軸でなされ、シンプルな経営が実現する。「世界を変える」というパーパスを掲げた企業は、どんなに高収益のオイシイ儲け話があっても、それが「世界を変える」というパーパス実現に反すると判断したら、胸をはってやらない判断をする。その骨太でわかりやすい考え方が、厳しい競争の時代にあっても高い利益率を可能にし、優れた企業としてリスペクトを集めることになる。

多くの企業が、厳しい時代を生き残る時代的な知恵として、パーパスの策定に挑戦している昨今です。ただ、策定したワードがどう経営を強くするのかが明らかにならず、経営者の理解を得られないまましぼんでいくプロジェクトが多いことも耳にします。エシカル消費の時代だから、社会や環境のためになる事業をやる企業に人材が集まる時代だから、ESG投資の時代だから。そうした変化要因に対応しなければいけないという都合からパーパス経営を検討する企業が増えることも理解できますが、本来、パーパスはそうした外的要因で決まっていくものでもないはず。「なぜ、その事業をやるのか?」の内なる理由を問うものですから。

強いパーパスを持つ企業は、そのパーパスが強いゆえ、その企業独特の考え方や理念を生み、独特の考え方がそれを実現するための固有の制度や仕組みを生み、固有の制度・仕組みがその企業ならではの文化や活動、集団を生んでいく。そのことに気づいた777は、その構造をパーパス経営ストラクチャーと名づけ、パーパスに関連する業務依頼を受けると、パーパスとパーパスストラクチャーをあわせて議論することで、経営と乖離することのないパーパス議論ができるようにリードしてきました。

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パーパス経営ストラクチャーの基本ツリー


そんな背景があって、盟友LOFTWORKさんの社員強化研修の上級テーマとしてパーパス設計を取り上げる際も、パーパス経営ストラクチャー視点にたった研修プログラムを組み立てました。「LOFTWORKの今をパーパス経営ストラクチャー視点で分解・分析し、次なる時代の強いパーパス経営のあり方を諏訪社長に提案する」。決して簡単なテーマ設定ではありませんが、パーパスとパーパス経営ストラクチャーをあわせて考えるこの手法を体験ことで、経営と直結したプランニングの意味を理解し、クライアントの課題解決の解像度をぐっと高めることができる。あえて自身の会社を題材としたのは、中身をもっとも理解している自分の会社を題材にすることで、逃げや言い訳の効かない状況をつくりたかったから。と同時に、事前のインプットやリサーチを最小化できるから、ですね。

パーパスを頂点としたパーパス経営ストラクチャーとは?


パーパス経営ストラクチャーは、パーパスを頂点とするツリー構造。パーパスが強い企業であればあるほど、その企業には独特の考え方、仕組み、文化が生まれ、ツリーのような立体経営構造をつくっているはず、という仮説にたっています。

パーパスの下には、パーパスがつくりだす独自の考え方レイヤーがあり、その下には、独自の考え方を実践するためにつくられてきた制度、仕組みのレイヤーがあり、さらにその下には制度や仕組みが生み出してきた独自文化・活動のレイヤーがある。強いパーパスが強い経営を生むのは、パーパスの求心力がすごいからだけでなく、独特の経営ストラクチャーをつくりだすから。そのストラクチャーが育っていくことで、企業規模が大きくなってもパーパスが強く機能する企業であり続けることが可能になる。パーパス経営は、このストラクチャー視点で考えていくことで、概念としてのメソッドから、具体組織や具体活動と結びついたものになっていきます。

LOFTWORKのパーパス経営ストラクチャー研修は、以下の内容の全6回で実施されました。

1.LOFTWORK沿革情報をベースに、諏訪社長へのなりたちインタビュー    by 福田
        〜次週までの課題:聞き出した内容をふまえてそれぞれにパーパスワードを考えてみる。
2.参加者が考えてきたパーパスワードの共有と議論→まとめ役の福田がパーパスワードの仮決めをする。
        〜次週までの課題:LOFTWORKのユニークな考え方、制度、仕組み、企業文化、活動を洗い出す。
3.パーパス経営ストラクチャー講義による概念理解、さらに
       洗い出してきたユニークな考え方、制度、仕組み、企業文化、活動を3レイヤーに分解
       〜次週までの課題:パーパスを頂点としたパーパス経営3レイヤー構造をグループごとに完成させてくる
4.3つのレイヤーへ分解した内容をさらに主要組織ごとの再分解へ
       〜次週までの課題:主要組織別に再分解を完成させる。
5.パーパス経営ストラクチャー分解の成果発表とそこから見えてきた、LOFTWORK経営の分析。
      〜次週までに課題:これまでの成果をベースに、社長へのLOFTWORKパーパス経営提案書をつくる。
6.社長提案:パーパス経営ストラクチャー分析と次の成長可能性提案を各グループから行う。


たった一回の社長インタビューで?そのあとすぐにパーパスワード設定?


この研修でのインプットは、社長インタビューのたった1回に設定されています。パーパスワードも2回目には仮決めします。もちろんインタビューフェーズは、通常業務であれば主要ステークホルダーを対象とした数度に及ぶディープなものになり、それだけで数ヶ月かかることもあります。パーパスワードの策定にも数ヶ月の検討を要することもあります。ただ、この研修の主目的は、パーパスと経営を一体で考えるパーパス経営ストラクチャーの理解なので、この2つはコンパクトに畳んで進めます。そのかわり、たった1回のインタビューでの聞き出しを最大化するために福田自らが聞き手になってインタビューしました。パーパスワードの仮決めも福田が丁寧に監修しています。エシカル消費やESG投資など、今の時代の外的要因に影響されたいかにも正しそうなパーパスワードに仮決めされないようにチェックします。

仮決めしたパーパスが生み出してきたであろう
ユニークな考え方、制度、仕組み、企業文化、活動。


パーパス経営ストラクチャーの考え方は、強いパーパスを持つ企業は、そのパーパスを実現するために、独特の考え方や制度、ルール、企業文化を生んでいるはず、という仮説にたっています。そこでパーパスの仮決めの次にやることは、これまで生み出されてきたであろう独特の考え方や制度・ルール、活動、文化を洗い出すこと。LOFTWORKはわかりやすくユニークな企業です。そしてそのユニークさはなんとなく生まれたわけではなく、創業者がもっていたパーパスが生み出してきたものひとつひとつであるはずなのです。どんなにおかしな企業文化だと思っても、どんなに特殊な制度だと思っても、もらさずピックアップしていくことが重要です。そうしたものにこそ、パーパスが現れている可能性があるからです。このプロセスで、仮決めしたパーパスが、洗い出したものとあまり関係ないなあと感じたら、その仮決めパーパスが芯を食っていなかった可能性があります。仮決めにもどって再検討する必要があります。

そして、基本ツリー構造の3層に分解。


徹底的な洗い出しが終わったら、それら項目を、考え方・理念/制度・仕組み/活動・文化の3層に分解していきます。それによって、LOFTWORKのパーパス経営構造が次第に見えてきます。「あ〜、パーパスはこんな考え方を生んだんだ」「あ〜、そうした考え方がこんな制度をつくったんだ」「そんな制度やルールがあるから、こんな企業文化が生まれたんだ。こんな活動が活性化したんだ」

そして、その3層分解は、さらに下図のような企業の主要組織・戦略ごとに分割していきます。複数の領域にかぶるものがあったら両方に書き入れてください。それによって見えてくることは、パーパスが企業経営にもたらしてきた影響です。パーパスが変えてきた人事ルール、独自文化。パーパスが変えてきた営業施策、独自活動。パーパスが変えてきたR&D思想、ユニーク施策。

下図は、一般的に考えられる主要戦略領域でつくっています。実際の領域設定は、その企業ごとに考えていただいたほうがいい。たとえば、パートナーとの協業が重要な企業であれば「パートナー戦略」という項目が入ってくるでしょうし、クリエイティブが重要な企業であれば「クリエイティブ戦略」という項目が入ってくる。LOFTWORK研修では、会社の仕組みや就労制度をつくる人事・総務戦略、会社の次の売り物を考えるマーケ戦略、クライアントの時代ニーズと向き合うプロデュース戦略、高度なアウトプットに着地させるクリエイティブ戦略の4戦略領域で行いました。

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パーパス経営ストラクチャー 組織ごとの分解の図


こうして整理することによって、その企業内の主要機能ごとに、掲げたパーパスが生かされる経営=パーパス経営が回っているかどうかが見える化されていくことになります。

そこからさらに、次の5年10年のパーパス経営設計へ。


LOFTWORKの参加者たちは、ここまでの整理がグループごとに終わったところで、自分たちの会社のパーパス経営ストラクチャーをクールな目で見つめてみることになりました。ものすごく効果的に回って、すぐれた仕組みや企業文化を生んでいる領域もあれば、パーパス起点の強い何かが生まれていない領域もある。そうやって見えてくる「パーパス経営の今」が、次の5年10年に向けてパーパス経営を強化し、さらに強い企業になっていくためのプランニングの基礎になります。そこに、今という時代の特性を考え合わせてみたときに、LOFTWORKのパーパス経営はどんな進化可能性があるのか。そこが、最終提案のポイントになります。


パーパスはどの会社にも、なければいけないのか。


「なぜその事業を始めたのか?」「なぜその会社をつくったのか?」その理由が明確にあり、その初期動機を強く信じて経営してきた企業が、濃いファンを育て、魅力的な人材を集め、高い収益を上げる企業に育つ。その事実をもとに語られるようになった企業パーパスなのですが、実際すべての企業が、明確なパーパスをもってスタートしたわけではないと思います。パーパスがなくとも、高い収益をあげる優良な会社はあるのです。

たとえば、企業がその成長とともに、大きく育ってきた機能を別会社化として独立させることもあります。その場合、その会社の社長は、なぜ作るのかを考えて会社を作ったわけではないかもしれません。親会社の人事でたまたま派遣されただけなのかもしれません。そうした企業のパーパスを考える場合、2つのスタンスがあると思います。1.親会社のパーパスをその会社のパーパスと考える。  2.パーパスを無理に考えない。

パーパスはなきゃいけないわけではないし、ないと恥ずかしいわけでもない。なくてもいい企業はいっぱいあるし、逆に強くパーパスがあってもうまくいかない企業はたくさんある。本来、パーパスはつくるものでなく「あるもの」だと思います。パーパス経営コンサルをするにあたり、そのあたりの根本整理をしてから、濃い議論に入っていくことも重要だと思います。